今回、自分がオーダー(John Carruthers made 60's ST/BLK)するにあたって先ずリクエストしたのは“6弦をドロップDで固定して使用するので低音域のレンジに配慮したものにして欲しい。使用するゲージは009〜046でとにかくロックなサウンドにしてください”ということでした。

実際に仕上がってきたギターのサウンドは、特にミッド〜ロー周辺のレンジがいわゆるストラトのイメージにプラスアルファを加えた様な的を得た素晴らしいものでした。しかも生音で既にアコギ並みの鈴鳴り感が有り、それはアンプを通してもハッキリと存在しているのです。
他には今回ネック裏をマットフィニッシュでというリクエストもしたのですが、通常はヘッド裏からネックエンドまでの全体を均一にフィニッシュすることがほとんどだと思います。しかし彼はグリップ部だけをマットでフィニッシュし、上下のヘッド裏、ネックエンドはツヤ有りのクリアーでフィニッシュしてきました。ちなみに彼が製作した他のギターの多くはネック全体をツヤ有りのクリアーでフィニッシュしているものがほとんどでした。きっとそれはサウンド面での効果を計算している気がします。きっと彼のギター全てに共通する独自なブリリアントトーンを再現する上で大きなメリットがあるのでしょう。
ヘッド厚も通常の60'sスペックと比べて2〜3mm厚くなっていました。これもミッド〜ロー周辺のレンジを豊かにする上で果たしている役割は大きいと思われます。厚みそのものはヘッド上面に向かって取っているのでしょうか、弦のテンション感は絶妙で弾き疲れしない倍音を多く含んだものです。この辺りのコンディションにはブリッジのセットアップも相当絡んでいると思いますね。ブリッジに関しては何よりレスポンスの素晴らしいアーミングに尽きます!わずかにタッチして細かいビブラートが思いのまま!・・・というか弾き手の実力が試されます。このアームのセットアップをジェフベックに弾いてもらって感想を聞いてみたいものです。

結局、カラザース氏がこのギターを通してメッセージすることを自分なりに読み取って言葉に変換したならば「あらゆる部位のトータルバランスからひとつの方向性を導き出すことこそが理想のサウンドを得る為に必要不可欠である」ということを感じ取れました。
これから氏にオーダーされる方はサウンド面での具体的なリクエストを絶対持ちかけてみるべきです!!ノーマルスペックのストラトやテレetcでも当然、素晴らしいものを仕上げてくれることでしょうが、愛すべきギターを通じて「言葉を越えたコミュニケーション」が出来、それが吹き込まれた愛器を手にする幸福感を体験すべきだと思うからです。


To Mr.John Carruthers
貴方に製作していただいた黒いストラトは我が生涯のメインとして愛でていきます。
「このギターを通してクリエイティブな時を重ねていきたい・・・」
そんな貴方のギターに出会えた事は自分の音楽人生の中で大きな意味を持っていると思います。ありがとうございました。次のオーダーもよろしくお願いします。

To 銀さん
2本目は「ストラトのきらびやかさ+ウォームな感じ」をテーマに考えています。カラザース氏に“スプルースTOP+アルダーBACKで、ソリッドorチェンバーだとどちらの方がベターか?”という質問をしてみてください。
まだまだお世話になります。


Dear Atsushi san thank you for selecting one of our fine instruments.
We hope it will enhance your enjoyment of music and bring you a lifetime of good service.
01/06/2004

(訳)親愛なるアツシさん。我々の素晴らしい楽器をセレクトして戴きありがとうございます。
我々は貴方が音楽に没頭できるように希望し、また一生涯を通じたグッドサービ スを提供いたします。

Dear Katsutoshi a chambered alder body with a maple top would give the sound you are looking for.
01/28/2004

(訳)貴方の探しているサウンドはアルダーチェンバーにメイプルトップが適しているでしょう。
John Carruthers


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