MIKE LULL P4Vの評価


Reviewed in issue of Bass Player Magazine By Scott Shiraki
(ベース・プレイヤーマガジン試奏レポート BY スコット・シーラキー)

 マイク・ルルはこれまでに沢山のフェンダーヴィンテージをワシントン州ベルビューの彼のリペアショップで修理してきました。その結果、彼はネック自体がゆがんでしまったり、デッドスポットが出たりなどの症状が再発した物に対してのリペアー方法、また各パーツ部分をアップグレードしたり、シールディングを施したり等の様々なケースによって有効な対処方を熟知したリペアーマンとなっています。
しかし同時に彼は、何が改善不可能なのかを知る事となります。そうした理由で彼は自分のフェバリットベースの進化版の製作を開始しました。

 彼の楽器は何年間もかけて求められるサウンドを研究し、幾つか異なったタイプの機種に厳選されていきました。そのなかで今回我々が批評するのに持ち出したのはプレシジョンベースをパワーアップした彼のP4というモデルです。
このベースはクラッシックPBに必需な特徴を持つもので、アルダーボディ、メイプルネックの指板エッジが“弾きこなれた感”を持ち、スプリットバンバッキングピックアップを“スイートスポット”にマウントしています。
私はピックアップの位置を58年製、60年製のPB、それと長らく使っていない74年製のPBと照らし合せてみました。ケースから取り出してみるに、多くのプレイヤーがしばしば欲するモディフィケーションが施されているようです。高品質で近代的なハードウェア、シャーラーのストラップロック、平らなフィンガーボード、'64年ジャズベースの位置にオプションでのJBピックアップ。塗装、配線関係、セットアップも全ての部分が入念にチェックがされています。
何人かのスタッフはマッチングヘッドブラックがセクシーだと言い、また何人かはヴィンテージルックには相応しくないと、この点に関しては意見が分かれました。ネックフィッティングとハードウェアの取り付けには細心の注意が払われていてタイトです。ガタつきやズレもまったくありません。
ベースは2ヶ月間我々のストレージクローゼットに待機させ試奏を続けましたが、厳選されたネック材にさらにネック自体の強度を上げ、デットポイント追放の為にグラファイトバーがインストールされているので、いつ取り出して見てもプロフェッショナルの使用に耐えられる完璧なSET UPを保っていました。
ライトウェイトBODY、慣れ親しんだCシェイプネックサイズと弦間等も恐ろしく 快適な弾き心地を生み出すポイントだと思います。

 現実的な使われ方として中クラスクラブでの演奏ボリュームにおいてP4は色々なアンプを使用してサウンドの耐久性を極限までテストいたしました。
Demeter VTBP-201、Aguilar DB-680のプリアンプにStewart 2.1パワーアンプを、Tech21 Landmark 600 ヘッドに4×10キャビネットを、Gallien-Krueger1001RB コンボアンプ、そしてCarvin RC210 コンボを使用しました。

 このP4は“良く知られているヴィンテージのパンチとうなり声”を全くのハムノイ ズ無しで所有していました。付け加えるにネックシェイプと仕上げについては、全くもって魅力的でありました。
ベースプレイヤー誌の編集者である1人はAshdown400WヘッドAguilar4× 10を使い、彼のファンク/R&Bで2ステージ、さらに自宅でも試してみました。彼の主に所有しているベースはアクティブコントロールを持っているものですが、このパッシブのP4に対してはいろいろなタイプの良い音色に容易にダイアルする事が出来るので全く物足りないとは感じられなかったとのコメントを残しました。

 特にこのP4のPJの組み合わせはシンプル(2Vo,1Tone)ですが非常に用途が広いです。ロックサウンドのリハーサルにおいて両方のPUとトーンを全開すれば、Jを付け加えた分だけLowに若干張りが出ます。
P4とAmpegのSVTの組み合わせは実に最高です。ピックでパワーピッキングをすれば吠えまくるし、サバススタイルのロックであれば少しだけゲインを上げれば髪 が震え上がります。
私は自分の基準である64年J Bと74年PB(65年PUに載せ変えた)を比較検討の為に持ってきました。Pピックアップ単体でテストするに、質感と食い付き感は類似しています。Jピックアップ単体では、多くの人が慣れ親しんだJAZZ BASSサウンドの乾いたパンチを同時に持ち合わせます。64年製JBよりもPUがほんのわずかブリッジに近い分、若干のタッチ音が出るようです。

 マイク・ルル・ギターワークスのロジャー・ジーのコメントによると、JAZZ BASSピックアップ配列の場合は64年JBと全く同じ位置にピックアップを取り付けるのだが、P/Jの場合、その位置にJピックアップを置くと余りにも各々が近すぎてしまうので2つのピックアップの相互サウンドとミックスサウンドの両方を考慮して良い場所を厳選したという事です。
Jピックアップがブリッジに若干近くなった音質を補うために、このPUも他のルルベースに使われているPUと同様にリンディーフレーリンによって特注製作(カスタムワウンド)されているものであるという事を付け加えておきます。


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