2009年4月ジョン・カラザースの記念すべき誕生日パーティーが盛大に行われました!・・・part2


例によって昨晩のイタリアンでは、
大好きなパルメジャンチーズのふんだんに使われたパスタを食した。
マリナ デル レイのヨットハーバの裏手を真っ直ぐ
太平洋に向かって続くワシントンブルバードのそこは昼間であれば
”ここぞカリフォルニアだ”
といわんばかりのパームツリーの景色が広がる通り。
あと数百メートルで海という絶好のロケーションにあるその店は
いつも大変な人気で週末ならばかなりの時間を待つ事は
覚悟しなければならないだろう。
一人分では量が多いので、余った分は
朝飯用にドギーバッグ(お持ち帰り)。






時差のせいで早朝まだ薄暗い内に目が覚めてしまい、
仕方が無いのでシャワーを浴び直す。

4月半ばだというのに寒い夜でもなければTシャツ一枚で過ごせるこの辺り、
髪も乾かさずにハーバー沿いの公園に散歩に出掛けてみる。
散歩のご老人、ジョギングしているお姉さんたちと、
『ハイ モーニン』
『グッモーニン』
すれ違うたびに挨拶。ここはハッピーエリアなのだとあらためて認識。


ムッチムチのトレーニングウエアで朝からヨガをしている団体のお姉さん達、
プロモーションの撮影なのか褒め言葉を掛けまくって
シャッターを切りまくるカメラマン。

公園のベンチに腰掛けて朝日と一緒に潮風を肺に取り入れてみる。
まだ誰も触れていない新品のフレッシュエアーに繊毛も喜んでいる。


ハリウッドのメルローズ通り辺りだと、雰囲気も気温も
LAメタルがバッチリ似合いそうな”ガギーン”という暑さだけど、
この時期この辺り海沿いの気候は、日差しも爽やか。


例えていうならば西海岸産AORがよく似合う気候と言ったら良いのか、
海からの風も気持ちよくとてもすごしやすい。
思わず
”リヴィンインナ マリナ デル レイ”
と口ずさんでしまう。

マーク・ジョーダンのマネキン、

まだ初々しいスティーブ・ルカサー、

ラリー・カールトンのギターソロも

まだ海の香りを届けてくれていた1978年
ジェフ・ポーカロの軽快なビートがジャスタアザッマリナッデッレイッ。


散歩から帰ってくるとリズとジョン(旦那の方)がボートへ迎えに来ていた。

『モーニングコーヒーはもう済んだの?今からスターバックスでラテしましょ。』

ジョンはいつも通り朝8時前に来るだろうからと、程よい時間を見計らって我々は工房へと向かう。
工房に着くと外からリックへ電話を入れる。
「そっちの準備はどう?」
『ああバッチリだ。ジョンは何も感づいていないぞ。今だ。入ってこい!』

「ウイ アー シークレットサービス(サーバース)!駄洒落」



『あれ、皆でどうしたんだい?』


照れくさいのか平静を装った何食わぬ顔
職人とは感情を露にするのが苦手なのだ。
しかしハグを終えた顔をそっと見上げると
僕が知っているどのジョンよりも嬉しそうだった。
という訳で今日はこれからジョンカラザースの誕生パーティー。


”チュアーズ(乾杯)!”

「ねえ、これってロベンフォードのでしょ?」
『いや、こっちがロベンフォードのだ。
カツトシのはこっちだよ。』


5年程前にオーダーした筈では?

と思われるそのギター達は、
ギターの形になりながらも壁に吊るされ、
ジョンカラザースの魂が注入される日を待ち続けている。

ジョンカラザースの
いやアメリカンミュージックの歴史博物館とでもいうか
この工房のあちらこちらに雑然と置かれている物に
興味が湧かない音楽好き楽器好きはいないであろう。
いつでもそこら中にストーリーを持った機材が転がっている。

リペアデスクにはいつもの
リー・リトナーのギターがセットアップされている。
皆が知っている彼の有名なギターも含まれている。
その内の一本で近年製作された
本人の名前がトラスロッドカバーに入れられたそれも、
ナッシュビルから届いてからは一度も里帰りしておらず、
即ここでリフレット
その後もフレット周りからエレクトロニクス関係を
ジョンにしか触らせていないという
殆どカラザースモディファイとも言えるこのギター。

ヴァイやヌーノのあのギターまでもがここで調整されている。

”サーキット場を300kmで駆け抜ける車は
パーツから調整まで全てが違う技術が施されている”

考えてみれば当たり前ではある。
プロフェッショナルなら工場出荷時そのままの形では使用しておらず
その時代最高のスーパーセッティングが絶えず施されている。
また彼らはギターに求めるポテンシャルも半端ではない。
ここはそんなプロ御用達の有名なリペアショップだ。

リーのギター達はここに3回訪れると5回はご対面出来るハズ。
あの有名な赤いES-335ももう何度も(ジョンが弾いてみろっていうから)
遭遇している。

バックヤードにはカルロス・リオスや
ジェイ・グレイドンとシールされたハードケース。
ツアーケースにはフリード・ウッドマック、リトル・フィートのロゴが。
彼らは皆新しい楽器を手に入れると
悩み解決の為にこの工房の電話を鳴らす。






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