カラザースのセッティング


 ネックポケットには簡単な鉛筆書きの日にち等が入っている場合と何もない場合があります。
作業の行程やネック材を切削後に一時寝かしたりする際に覚え書き程度に入れるものです。


 「ネックのプレートとボルトを抜いてぶら下げてもBODYが落ちない」という恐ろしい状態の写真です。“良い子は真似しないでください。”


 カラザースの工房は多くの工房が省いてしまう行程に多くの時間をかけています。材木からネックの形に切削するとまず大きく木が変型します。木でも金属でも多かれ少なかれ変型します。(鉛筆の削りカスを思い出してください。真直ぐな木から削られたのにクルっと曲がっていませんか?)更に指板側とグリップ側で削り取る形状、量が違うので同じ様に曲らず、結果ほんのわずかですが歪みが出ます。木の乾躁状態とかシーズニングが十分でもこれは必ず起きます。

 フィンガーボードを削って寝かし、狂いが出きった所で今度はグリップを削りまた寝かし、狂いが出きった所で更に両方向仕上げるという時間が掛かる作業をくり返すのです。勿論その間にも湿度の変化によって違う材を張り合わせたネックの場合は材によっても収縮率が違う為にどちらかに引っ張られます。

この辺りの時間、手間を惜しみなく掛け、それに長年の経験が生きているギターがカラザースなのです。ネックエンドに入れたサインは作業中にネックとボディが分らなくならない様にしてある覚え書きのようなものです。刻印は入っていません。でこぼこするので、せっかくネックポケットとネックの接合部分をピッタリ加工してあるのに隙間が出来てしまい、音の伝達が悪くなります。カラザ−スのネックはもしお客さまが御自分ではずそうとしますと、かなりきついと思います。更に湿度が多くなる5〜9月ならば、木がわずかですが膨張するので気を付けて行ってください。



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