バジー・フェイトンが説明するB.F.T.Sについて


システムの由来
 バジー・フェイトンです。これからバジー・フェイトン・チューニング・システムについて説明します。バジー・フェイトン・チューニング・システムは1992年、私がギターのチューニングやイントネーションに対して非常にフラストレーションを感じ、独自のチューニングを考えたのが始まりです。

 スタジオミュージシャンとしてツアーに参加していた時の事ですが、演奏前のサウンドチェックではいつもギターのイントネーションにとても手こずりました。その傍ら、ピアノはチューナーさえ使わず、88鍵音もあるというのにいつもチューニングがあっているのです。ギターは6弦だけですが、音を合わせられませんでした。
この時、私は“ルールに従ってチューニングを合わせたってだめだ、自分に良く聞こえればいいじゃないか!”と思ったのです。それまでは、チューナーでまず開放弦を0に合わせ、12フレット上でピッチが0に合うようイントネーションするという通常のやり方でギターをチューニングしていました。通常のチューニングをする度に、ある和音は合うのに他は全く合わないのです。


通常のイントネーションで合わせたギター

通常のイントネーションでギターを合わせるとコードが合わないのは皆さんも経験済みでしょう。
基本通りチューナーでギターを全て0に合わせ、次の2つの和音を弾いてみます。

Aコード。綺麗に聞こえます。
Dコード。まったく合いません、わかりますか?
Aコード。合っています。
Dコード。調和しません。

そこでDコードが綺麗に聞こえるように、チューナーでB弦をフラットに合わせます。すると他のコードが合わなくなり、この作業を何度も繰り返すのです。


バジー・フェイトン・チューニング・システムで合わせたギター

では、次にバジー・フェイトン・チューニング・システムで合わせたギターで試してみましょう。

Dコード、Aコード、Dコード、Aコード。バズフェイトン搭載のギターは2つのコードが両方とも綺麗に聞こえます。


システムの仕組み
 1690年以前、ピアノは作曲家が書く楽曲のキーに合わせてチューニングされていました。ト長調ならG音に合わせるという具合です。ですからG又はそれらに関連するキーのEマイナー、Aマイナー、Bマイナーしか演奏できなかったのです。この制限に作曲家や演奏者はとても悩まされました。
 しかし1690年のドイツで、新しい調律方法がヨハンベルクマイスターにより開発されました。彼はピッチを0に合わせてからややフラットかシャープさせたのです。これにより初めて作曲家や演奏者は他の音程を弾けるようになりました。実際バッハは”平均律クラビア”という曲集を作り、ベルクマイスター達の新しいチューニングを披露しました。
BFTSもこのベルクマイスターの調律法の原理を利用しています。つまりチューニングやイントネーションを0に合わせてからコードの不協和音を防ぐためピッチをわずかにずらしたのです。

 BFTSシステム搭載のギターで試してみましょう。5度、4度、3度、マイナーの3度。もう一度。5度、4度、3度、マイナーの3度。全音程が合っていますね?これらの音程は合って聞こえますが、通例に従って言うとチューニングは合っていないのです。これはベルクマイスターのピアノ調律と同じでピッチをわざとずらしているのです。ところで、このベルクマイスター調律法は西側諸国で広く受け入れられています。

 先ほどGとB弦の和音を弾きましたが、これはギター上一番厄介な所です。これについてはお客さまの不満をよく聴きますし、私もGとBの間で音を合わせるのに苦労しました。
詳しく説明しましょう。チューニングを改善する際、ベルクマイスターは次の事を発見したのです。 もし完全音程(パーフェクトインターバル)の4度、5度、又はオクターブが若干フラット又はシャープしていても人の耳では聞き取れません。

 でももし3度、6度、又は10度がシャープした場合にはとても不快に聞こえるのです。むしろ、3度がフラットしたほうが奇麗に聞こえるのです。ベルクマイスターは完全音程の4度、5度、オクターブの音をわずかにずらす事で、3度、6度、10度の音を綺麗に聞こえるようにしたのです。

 BFTSの原理も同じです。BFTS搭載のギターのB弦は正確に0か、ややフラットでイントネーションされています。逆に、G弦の開放弦はフラットでチューニングされ、イントネーションはシャープさせます。バロックマイスターの調律も同じです。

 5度の音をフラットさせる事で違うコードを弾いた時、その音が3度になった時でも綺麗に聞こえるようにしたのです。これは先ほど説明したように3度の音の方が重要で、この音がフラットになる方が綺麗に聞こえるからです。

では、BFTSの定理に従い5度を狭めてみます。例えばB弦をそのままチューニングして、イントネーションは0かややフラットに合わせたとします。そしてG弦のチューニングをマイナス2に合わせ、プラス1でイントネーションします。これで音程が狭められます。G弦は弾く時に多少シャープさせますが、B弦のイントネーションは0か多少フラットに合わせます。この設定によりG弦はシャープし、B弦はフラットします。つまりこの2つの音程は狭まったのです。

3度の響きが良くなっているのがわかりますか? 5度も同じように奇麗に聞こえます。
これがBFTSです。私たちはこの見逃しがちな問題を探し当て解決したのです。


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